【補足】アイカツ中学生の話
詳しい言及を避けていたアイカツ中学生についての考えがまとまりました。
私は当初、アイカツ中学生のエピソードは「友達が出来たから年下と遊ばなくなったわけではない。前に進んだ結果友達が出来たに過ぎない。」という指摘によって「きーちゃん不要論」を否定する趣旨であると理解していた。
しかし、そう解すると直後のやり取りの位置付けが宙に浮いてしまう。
「じゃあなんで来たの?」というきーちゃんの疑問はアイカツエピソードに続くもこっちの発言に対して生じたものである。
アイカツ→疑問→返答という流れは一連一体であり、アイカツエピソードだけをブツ切りにして解釈しても不十分なのだ。
というか、そもそも当初の解釈だと因果関係が逆になっただけで、過去から脱却したことに変わりはないので、全然反論になっていない。
では、アイカツエピソードの要点は何か。
そもそもこのエピソードは、「カードゲームやってる暇ないもんね」というきーちゃんの発言に端を発している。
この発言は置いていかれる側の寂しさをきーちゃんが吐露したものである。
そして、もこっちは「……」の中でその寂しさを理解していると思われる。
でなければこんな長話を唐突にはじめるわけがない。
もっと手短にあしらえたはずである。
とすれば、きーちゃんの寂しさに対する答えは何か。
それは、「私も同じだった」という共感である。
もこっちにはきーちゃんの寂しさを否定出来ない。
前に進む必要があることも否定出来ない。
その場限りの取り繕いが不誠実であることは前々回で学習済である。
きーちゃんの寂しさを肯定した上で寄り添うことがこのエピソードの核心だったのではないか。
ここではじめて「きーちゃんちょっと元気なかったから」という発言の位置付けがはっきりしてくる。
アイカツ小学生が戻って来なかったように、前に進むことを決めたもこっちが駄菓子屋に戻って来る必要はない。
「じゃあ何で来たの」か?
きーちゃんが自分と同じ寂しさを味わっていたからだ。
つまり、これまでの一連の流れは、「私は前に進むけど、きーちゃんが寂しい時には戻って来て手を差し伸べるよ」という合わせて一つのメッセージだったといえる。
きーちゃんの寂しさの本質を読み取ったことといい、この上なくお姉ちゃんっぽいことをしている。
きーちゃんがフォントを変えてまで「優しい」「優しくて」と言葉を重ねるのも無理はない。
きーちゃんは「お姉ちゃんの側にいる理由」がないことに悩んでいたが、この時点でそんなものは吹っ飛んだ。
最終的には「優しいお姉ちゃんが大好きだから」で足りてしまうからだ。
きーちゃんは涙を流してはいなかったが、結構ギリギリで耐えていたのではないか。
(追記:アイカツエピソードが寂しさの共感だとすると、この後のきーちゃんの長台詞に寂しさを分かち合う覚悟の意味合いが出てくる。「きーちゃんとならそんなさびしくないし」という発言からおそらくもこっちも寂しさを克服し切れていない。それでも支えようとしてくれたもこっちに対して、お返しに「私も支えるから」と伝えたかった?その場合、「悲しくないよ」「さびしくないよ」の主語は「私もお姉ちゃんも」になる。)
(追記:「ちょっと元気なかったから」を受けて即泣きそうになったと考えるのは唐突感あったかも。「優しいねー」と「大人だね」は、お姉ちゃんらしくしようとするもこっちにほっこりしつつ撫で回したくなるような気持ちの表れにも見える。元気ない飼い主に寄り添おうとする犬を褒めながらわしゃわしゃする感じ。きーちゃんの焦りがどこまで切迫してたかの捉え方によって変わってくるな…。)
(追記:きーちゃんってあんまり冗談とか言うタイプじゃないからわかりにくいけど、意外とイタズラっ子かも。もこっちの反応を除去して見直してみると、今までサイコと見なされてた行動もちょっとしたお茶目で済まされるものが多い。喪142冒頭の入室シーンも「ビックリした?」ぐらいのニュアンスで捉えることが出来るし。もこっちが過剰反応してるだけで、普段大人しいきーちゃんからこんな「子供みたいなこと」されたら普通に可愛いと思う。おそらくお姉ちゃんにしかやらないという点も見逃せない。たまにキツめな時もあるのは愛嬌。)
これは半ばこじつけだが、きーちゃんが行動に理由とか正当性を求めるところは、もこっちと似ていると思う。
たとえば、もこっちは3巻のおまけで今江先輩を見かけて「声かけたりとかした方がいいのかな」と考え、結構長い距離をてくてく着いていった末に「あいさつしたかっただけなのに…!」と泣きながら敗走している。
「あいさつしたかったから」あいさつをしたかったということを素直に表現出来ず、理由を探すのは根が真面目だからか自分に自信がないからか。
こういう悩みは今回のきーちゃんにもちょっと通じるところがある。
そういえば、もこっちは卒業式回でも同じような悩み方をしていた(10〜13巻を貸しているので確認出来ず)が、その時に壁をぶち破ったのは吉田さんだった。
その吉田さんが今回も登場しているのは、偶然だろうけどよくよく縁が深い。(了)