ふり向けば加藤さん

わたモテ感想&考察

【感想】喪146:モテないし雨が止むまで

今回の話は真子さんが仏やったり智貴の視野がうっちーレベルやったりで触れたい箇所が山程ありますが、全部書くとヤバいことになるので取り急ぎ加藤さん関連で気になったことだけまとめます。

 

イヤホン交換


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「名前書いといて」(喪144)に引き続いて加藤さんがまた難解な遊びをしはじめたけど、おそらくメーカーが一緒であることに深い意味はない。違うメーカーなら聴き比べの意味が一応あるのに敢えてその可能性を排除してるってことは、交換(間接的接触)自体が目的なんやろな。口実作りがヘタクソ過ぎるけど。うっちーのペットボトルを選んだ理由を加藤さんはまだ聞けてないし、そのリベンジ兼ジャブ*1みたいな感じか。口(粘膜)がダメなら耳はどうだ、と。

加藤さん回は爪、唇、耳とやけにフェティッシュな身体パーツを意識させてくる。ヘッドホンを外して置かずに首(香水をつける部位)に掛けるのも微妙にマーキングっぽい行為や。家帰ってヘッドホン着けたもこっちの反応が見たい。

(追記:このシーンについてTwitterのフォロワーさんが興味深いことをおっしゃられていた。要約すると、わたモテにおいてイヤホンは断絶の象徴として用いられることが多いが、喪109ではゆりと真子の繋がりの象徴として描かれていた、みたいなお話である。これを踏まえると、同じメーカーのイヤホンとヘッドホンは、形は違うが中身が同じものを共有するという物語上の意味合いを帯びる。これは後述する加藤さんの心情を読み解く上で重要な要素の一つになると考えてる。そうでなくとも、イヤホン関連の話が2ページ以上に渡って続いてるので何らかの意味はありそう。)

(追記:イヤホンをつけることが断絶を意味するなら、イヤホンを外すことは受容を意味する。そう考えると、2ページ後の右耳だけイヤホンを外したもこっちは周囲の雑音を遮断しつつ加藤さんにだけ耳を傾けてる状態とも言える。そして、加藤さんもまたヘッドホンを完全には外さず首にかけた中途半端な状態である。見方によっては、イヤホンを片耳ずつシェアするやつの変則型にも見える。ここでの二人の会話の密度は文字で見る以上に濃かったのかも知れない。)

 

 

膝枕の誘い


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膝枕は流石にアレやと思ったのか、長めの理由付けが入った。一旦「そういうの」とぼかしつつも、「甘えたくなったり」っていう具体的な答えに誘導してて圧が強い。「たり」が全く例示になってない。それ一択。しかも、弟がいることを知った直後にその情報を説得材料に組み入れて利用してる。もこっちがたじたじしてるのを見て即座に「恩返し」を切り出すのも反応が速過ぎる。姉妹云々はともかく、牛にかこつけて仲良くなるプランは前から考えてたんかも。下手すると恩返しを拒否された後の策まで用意してはるで。三点リーダー出してるもこっちの放心顔が逃げても無駄なことを悟ったような表情に見える。

ていうか「恩返し」は通常キーホルダーを貰ったことに対して使う言葉じゃない。「お返し」とか「お礼」の方が相応しい。大辞林によれば、恩とは「他の人から与えられた恵み、いつくしみのこと」らしいけど、一体加藤さんはもこっちからどんな「いつくしみ」を与えられたのか。それについてはこちらの方の考察(https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=71362204)を読んで欲しい。よく議論される「加藤さんは何故もこっちに執着するのか」及び「加藤さんはもこっちに対してどういう感情を抱いているのか」について非常に深い見識を示されている。イラストも丁寧に加藤さんの特徴や雰囲気を捉えてて素晴らしい。とにかく、茜とネモの為にあれだけ尽力した加藤さんが誰からも褒められてない(もこっちが間接的に労ったが)という事実はもっと知られるべき。

(追記:今回の膝枕、最初こそ唐突な感じに見えたけど、実は遠足の帰路での加藤さんの気持ちを考えるヒントになってるんでは。要するに、遠足時の加藤さんは我々が思うよりも無力感に苛まれてて、それだけにもこっちが寄りかかってくれたことが大層嬉しかったんちゃうんかと。それこそ救われたと言ってもいいレベルで。あれ以来ずっと再び膝枕する機会を欲してたんやとしたら、たまたま場所が自習室やったとしても即飛びつくのも無理はないように思える。「恩返し」って言葉にはそれぐらいの重みがある。)

(追記:加藤さんの遠足での傷心ぶりを裏付けるセリフとして「茜も最近根元さんの話しかしてないけどね」が挙げられる。自分と一緒にいるのに茜がネモの話「しか」しないことについて、一体どういう気持ちやったんやろう。自分が離れたら茜が一人になってしまう、とまでは思ってなかったかも知らんが、ずっと側に寄り添ってたのに。それでも黒木組に合流したり仲直りを提案したり色々頑張ってた加藤さんに対する茜のセリフが「色々ごめんね」やったのも寂しい。そこは「ありがとう」じゃないのか…。ネモに至っては謝罪すらない。加藤さんのネモに対する当たりがキツいのは、この辺の事情に端を発してるのかも知れない。)

 

 

 

例の表情


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加藤さんのこの表情が何を表してるのかについては既に多数の議論がなされているが、自分としてはtwitterで見かけた「もこっちと同じ気持ち説」を推したい。

根拠としては、①加藤さんが膝枕に満足したこと(行為自体は純粋に楽しんでた、後述)、②膝枕に入るまでの導入が長過ぎること(あの誘い方は咄嗟の判断ではない)、③背景トーンの翳り(何らかの憂いはある)、④二人の出会いが遅過ぎること(残された時間が僅か)、⑤加藤さんが左手でもこっちを撫でていること(直接触れて感じるものがあったのでは?)が挙げられる。

他にもうっちーを意識してた説、心の壁を感じた説、雪の日との対比説、単なるアンニュイ説、強引な誘い方を反省した説、トイレ我慢説等、様々な読み取り方がされている。正直どれも納得出来て面白いし、どれか一つに決めることはナンセンスかも知らんけど、このシーンで加藤さんともこっちが互いの身体を通じてシンクロしてたらロマンチックかなと…。

(追記:またまた他所様のとこの紹介になるけど、こちらのブログhttp://gyuntor.seesaa.net/article/463114690.htmlでは加藤さんの表情を視線誘導の観点から分析しておられる。とても説得力があり、かつ自然な考察なので是非読んでみて欲しい。そういえば、加藤さんがもこっちとはじめてまともに絡んだ喪109でも似たような表情してたな。雪の日を回想して、「せめてあの時もっと仲良くなってれば」みたいなこと考えてたりしたんかな。)

 

 

妖しい目つき


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加藤さんの眼の下の点々の部分にかなりくっきり線(皺?)が引かれてて、ニヤァって感じの笑みが思わず溢れてしまってるように見える。何らかの喜悦を隠そうとしてる表情。何を隠したかのヒントはおそらく「黒木さんに弟がいること知ったり」の後に省略された言葉にある。加藤さんも次のコマのもこっちも時系列順に出来事を振り返ってることから、順当に考えたらここにはもこっちに膝枕をしたことが入る。内に秘めたい感情だったから、もしくは言葉に出せばゆりに対する煽りみたいになるからと考えれば、言わなかった理由も説明つくし。

そうやとしたら加藤さんどんだけ膝枕したかったんや。あの遠足帰りの電車でよっぽど人の温もりが身に沁みたんやな。もこっちが今江先輩に抱き締めてもらったのと同程度あるかも知らん。

(追記:相合傘って要は傘の共有なわけで、やっぱり今回のテーマは何かを共有することにあるような気がする。雨が寂しさを暗示してるとするなら相合傘はいかにも尊い。)

 

 

雑感

もこっちが「5月」という具体的な日付と関連付けて日常を噛みしめる様子は、とうとうここまで来たかって感じでしたね。以前から夏休みを特別視したりする傾向はありましたけど、今のもこっちにとっては毎日が特別な日なんでしょう。今日と同じ日は二度と得られないという実感が込められた切ない独白でした。

徐々に受験に舵を切っていく雰囲気も感じられました。自習室は6人テーブルやから、今回のメンバーに夏帆を加えるとして、定員はあと1人。ネモか吉田さんかうっちーか。志望校で考えるならうっちーなんですけど、雌猫組との決別が必須なんで、あまり考えたくないところです。

あと、前回はギャグ回なんでスルーしてたんですけど、加藤さんのはっちゃけ方が半端ないですね。自習室で膝枕はGENKANでSEXに通じるヤバさです。加藤さんはもこっちの言動に動じないので、受け身ではなく能動的に話を動かすキャラクターとして起用していく方が描きやすいんでしょうか。ニコ先生御自身も「え、加藤さんそんなことするの?」ってビックリしてはるかも知れません。何にせよ、今回のことで「粘膜以外なら何してもOK!」という謎ルールが加藤さんの中で生み出されてたらヤバいですね。牛の恩返しもあと1回残ってますから。それだけはほんまに絶対ヤバいことになりますよ。(了)

*1:「穴姉妹だな」のコマの加藤さんの目線から観察というか距離感を測る意図を感じた。口角が上がってるので何か手応えを得たっぽいが、そこから膝枕までエスカレートするのがいかにも加藤さんらしい。単発ジャブから強引にデンプシーロールに繋げるが如き怪物じみたムーブ。試合を終了らせる権利は常に加藤さんにある。