ふり向けば加藤さん

わたモテ感想&考察

【感想】喪150:モテないし栄冠を捧げる

球技大会続きましたね。1つのイベントがじっくり描かれて嬉しい限りです。雫は「一旦」戻るそうなんで、また後で合流するんですかね。クラスの方でまた寂しい思いをしてないといいですが。

今回も相変わらず同時進行の巧さが際立ってますね。どのキャラを追っても動きが線で繋がってるし、1つ1つの動作に情報量が多過ぎてエライことになってますが、ぼちぼち表面だけさらっていきます。

 


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最近やけにもこっちの自虐が多い。コンプレックスを素直に吐き出せるようになったのか、加藤さんやネモといる内に自分と比較するようになってしまったのか。女の世界の土俵に上がることへの意識が予防線を張らせてるようにも思える。そろそろ強めのツッコミが入りそうな予感がするが、この発言に対してネモは真っ向からは否定せず、ゆりはスルー。まあ、本人が意固地になってるっぽいのでムキになってもしょうがない。

そんな中、加藤さんはスッともこっちの隣に座り、力に逆らわず受け流す。やはり彼女はこういう盤面に強い。極端な静と極端な動。加藤さんが静の技量を魅せる程に動への期待と緊張が高まる。

(追記:ソフトのスコアを見ると2-1の得点が5,3,1,0になってる。キバ子は1回裏もしくは2回裏の途中で交代した可能性が高い。肩をアイシングしてるから交代投手は茜であるとの指摘があったが、バスケ部出身なだけあってなかなか優秀なピッチャーらしい。キバ子の言からすると開始直後に交代させられたようにも読めるので、2年生が早く終わらせたくて手を抜いてるだけかも知らんけど。)

(追記:吉田さん、ゆり、キバ子の間を行ったり来たりして真子が地味に忙しそう。たぶん今回一番動き回ってる。本来喪146で書くべき内容な上に語弊があるが、ゆりと真子の反抗期(修学旅行)と親離れ(現在)のストーリーが着々と進んでいる。ゆりの依存ばかり目立つが、「大丈夫?一人で行ける?」(喪137)に見られるように真子の過保護も大概である。キバ子に対するそれとはまた性質が違う(母と保母)。こういう関係を踏まえると、真子はゆりの青学受ける宣言を結構良い意味で捉えてたんじゃないかと思える。でないと直後にあの笑顔にはならない。ゆりの方も真子の心配性をよくわかってるので、「真子が側にいなくてもちゃんとやっていけるよ」という意識がなくはなさそうである。もこっちに乗り換えただけやんけというツッコミがあるかも知れないが、もこっちは母親の役割を担ってないので、依然ゆりの親離れは進行中という目で見てる。)

 


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アリジゴクくん(喪11)再登場に三者三様。「あなたの色々な一面に異性は様々な反応を見せるでしょう」という例の占いが想起される。

自分のテリトリーから出ようとせず待ちに徹するアリジゴクの生き様はかつてのもこっちに似てる。キモいけどちょっと可愛くて構いたくなる。そんなアリジゴクの存在を肯定的に受け入れる加藤さん。しかし、ひきながらもアリジゴクに興味を示すゆりネモと対照的に、一通り感想を述べ終わったこのコマではアリジゴク本体ではなく「アリジゴクを見るもこっち」を見つめてるように見える。少なくともゆりやネモのように覗き込んではいない。アリジゴクへの共感が薄いというか、一人だけ外側から別次元の思考をしてるかのようである。

加藤さんといえば、今回は牛のキーホルダーがスマホに復帰していた。こういうのって付け替える度にそれをくれた人物のことを思い出したりするわけで、なかなかヤバい兆候と思う。想うという行為に対する照れとか躊躇いが一切感じられない。アリジゴクに捕らわれてもがいてきた人物の代表格であるうっちーとは真逆のベクトルで生きてる。


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太字になってることともこっちの顔からすると「どっちが勝ってもいい」に対する意趣返しやろうか。ネモは協調性を大事にしてるので、あの時の三点リーダーでも「もっとワイワイしろよ」みたいなことを思ってたのかも知れない。純粋な煽りなのか、こう言えば田村さんは張り合ってくるっていう計算かはわからんけど、遠足の耳の下りと比べると随分アプローチが大胆になった。

この後の「女子は普通やらないよ」とか「負けたら明日ずっと暇でしょ」みたいな型にハマった考えはいかにもネモらしい。一人でアリと戯れたり単語帳を見たりするのはネモ的ではない。こういう「普通観」の摩擦みたいなものが今後ネモの周囲に増えていく気がする。ネモ視点でのもこっち理解の深化が加藤さんへの理解に応用され得る点にも注目していきたい。

 


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三点リーダーの応酬を見た直後に目を移すと「やってやるぜ」「ほーら、乗ってきたズラ」みたいな図に見えなくもない。実際には見たままの反応なんやろうけど。

「クロこっち来て」とか「やってみ」からお姉さん味を感じる。スカートの下りもそうやったけど、ネモは自分を変えるより他者を動かす方が性に合ってるんかな。

しかし、別の見方をすると女子高生の遊びじゃなく小学生の遊びに誘う辺りにネモからの歩み寄りも見て取れてじんわりくる。

 


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3人で作り上げた思い出の象徴たる花冠を加藤さんに捧げてしまった理由は、「あの2人はひいてたからな…」に尽きると思う。もこっち的には自分で装着するという選択肢は無いので一番喜んでくれそうな人にあげたくなるのは道理。

それにしても、この嬉しそうな顔。この2人どんどん母娘としての自覚が芽生えてないか。ロールプレイが板につき過ぎてる。ここまで加藤さんが理想のお母さんしてると、現実のもこママの方も気になってくる。ちゃんと進路の話とかしてるんかな。

あと、加藤さんがこの花冠持って帰るのかどうかも非常に気になる。逆にすぐ捨てたらもこっちがどうなってしまうのかも気になる。

(追記:意外と出来がよかったから思いつきで貢ぎたくなったんやろうけど、作成過程を知らない加藤さんは「自分に渡すためにわざわざ作ってくれた」って解釈したと思う。そらこんな笑顔にもなる。もこっちの方も屋台メニュー(ゆうちゃん)とかコーヒー(今江先輩)の不発を経てる分、さぞ貢ぎ甲斐を感じてることやろう。しかし、「花冠のお礼」というカードが加藤さんの手に渡ったことを見落としてはいけない。牛の恩返しもまだ残ってるのに更に貢ぐとか、命が惜しくないのか。)

(追記:気づく人もどうかと思うが、花冠をかぶる為に加藤さんが髪をほどいてたのを知って腰抜かした。これ直前まで単語帳見てたっていうのも強いねん。家事を中断して相手してくれるお母さん!)

 

冒頭で述べた通り、今回の「溜め」はヤバいですね。お互いに影響を与える度合いというか、コミュニケーションの踏み込みが静かに一段階上がったように感じます。土台を築くステージが完全に終わったんやな、と。

ふと思ったんですけど、喪144の席替えって結構示唆に富んでますね。今後はこいつら同士が絡んでいくぞという予告のような。もちろん席が近い者同士が絡むのは当たり前なんですけど、今回キバ子がピッチャーやってたことの必然性って小宮山さんとの縁を作る以外に思いつかないので、もこっちと加藤さん、ゆりとネモと同様にこの2人にも何かしら関係性が出来てくるんじゃないかと期待してます。

球技大会もあと2回ぐらい続きそうですね。大学見学然り、こういうシリーズ物に関してニコ先生はかなり練ってくるという印象があるんで、相当なもんが飛び出して来る気配がします。ここまで影も形もなかったうっちーにもそろそろ暴れて欲しいです。彼女もここんとこ色々溜め込んでそうですから。(了)